鋭意製作中

8月に入りましたまだ完成していません。
今月こそ完成へ!

2012年6月27日水曜日

NDL Potsdam (69) - カーゴハッチ

今回は甲板上の最後の大物と言ってもいい、カーゴハッチを作ります。甲板上に四箇所、白い部分、まさに「空白」が残っています。それが塞がります。

まず部材ですが、これです。

上の方にあるストライプが側面でその上に屋根型に上面が付くのですが、どれも同じ大きさのものが二つずつありますね。どういうことでしょうか。グレーのものには(A)と印がついていますが。
部材リストをみますと、bはLuckendeckel、b (A)はPlaneとなっています。ということは前者がハッチの蓋、後者が防水シートということになります。製作者の好みでどちらか一つを付けろということのようですが、どちらにしましょうか。
私は、NDLに引き渡されて運航中の姿を作りたいので、防水シートをかぶせた方ということになりますね。方針決定。

作るのはさして難しくありませんが、上板の側面などに白い部分が残らないように、Stabiloで丁寧に色を付けておきました。 一番大きい前から二番目のハッチが出来上がりました。

それを甲板に付けるとこんな感じ。平らだった甲板にパーツが付くだけで立体感がでますね。やる気が出てきました。

甲板に貼り付けるときには糊が乾くまでナットの錘で押し付けます。この用具、久しぶりの登場です。ボンドが乾くまで指で押さえておいてもいいのですが、指だと力がむらにかかりり、それによってパーツを変形させてしまうこともあるのでなるべく錘で力を加えることにしています。

前の二つが完成。

そして後ろの二つも完成です。

難しい工作ではありませんがなかなかいい感じです。ただちょっと物足りないところも。

防水シートだと言うのに、ちっとも防水っぽくない。もちろん、紙ですからね。そこで「防水感」(そんな言葉があるのか?)を出すために一工夫することにしました。このシートに光沢があったらどうでしょう。ビニールのような素材やキャンバスに薬品を塗って防水加工を施した感じになりませんか。そこで以前も使った水性のクリアラッカーの登場です。

下の写真のものは、縦方向、横方向にそれぞれ一回塗ったのですが、たしかに光沢が出ました。光の当たり方によってはよく光を反射し、防水シートっぽくなりました。なかなかいいですね。

このラッカーですが、塗るときには毛の柔らかい筆で塗り、塗り重ねるときにははじめの塗装がよく乾いてからにしないと塗りムラが出来てしまいます。前の方のハッチはちょっとそれをやってしまいました。まあ、自分では満足してますが。

はい、今日の作業はこれでお終いです。全体を写してみました。奥には今回活躍してくれたペリカン社の水性クリアラッカーも写っています。

さてこのハッチから船倉にどんなものが入れられたのでしょうね。前の二つ目のハッチは6 cmほどありますから実際には15 mの長さになりますね。これくらいだと電気機関車も入りそうですが、日本はこの頃はもう鉄道車両は輸入していませんよね。P. Kuckuk, Die Ostasienschnelldampfer Scharnhorst, Potsdam und Gneisenau des NDL.という本に輸出入品について少しだけ書かれていますが、原材料やせいぜい部品の類いが多かったようで、今日のようにドイツの機械が世界中を行き来すると言うことはなかったようなのです。しかし量はともかく自動車等のドイツ製の工業製品も運ばれていたのではないかと思っています。ちなみにこの急行汽船での輸送は特別料金が必要だったそうですから、今で言えば空輸のような感じで高価なものもあったのかもしれません。また調べてみます。

2012年6月25日月曜日

NDL Potsdam (68) - ボードクレーンの台座

今回の作業では、プロムナードデッキを貫通するボードクレーンの台座を作ります。ただし前から気になっていたのですが、この部分、モデルの設計ミスがあるようでそのまま作るとうまくいきそうにありません。そこに注意する必要があります。

写真を撮っても分かりにくいのですが、この台座を設置するためのポイントがずれているようです。これは私の製作ミスではなく、モデルの設計に問題があるようです。


本来はプロムナードデッキを貫通させ、その下のデッキも貫通させるのですが、このずれのためそうはできません。下の甲板は貫通させないようにします。

まずはのりしろを半分剥きます。

そしてそののりしろの当たる裏も同様に半分剥いておきます。

そうやっておいて少しずつ丸めてのりしろにボンドを置いて接着すると、はいこの通り。きれいに筒ができました。

プロムナードデッキの甲板にぐいぐいぐいと差込みます。あまり力任せにならないように、穴が小さすぎるときには、穴を広げたり、筒を削ったりします。

で、横から見るとはいこの通り。やはり黒い設置位置が数ミリずれていますね。

貫通は諦めましたが、そのままにしておくと見苦しいので、設置位置の黒い枠を自作して、接着地点にセットすることにします。

 そんな風にして出来上がりです。

実は最後尾のボードクレーンの台座にもこれと同じ問題がありました。そちらはあまり目立つ位置ではなかったので、今回のようなことはしませんでしたが、このモデルの後ろ半分にはいくつか設計上の問題があります。そういうのを見つけて対処するのもペーパークラフト作成の楽しみかもしれません。


2012年6月23日土曜日

NDL Potsdam (67) - プロムナードデッキ後部の手すり(2)

プロムナードデッキ後部の手すりの続きです。今回で完成させます。今回はカーブした手すりです。

まずは部材です。51のjとkは、lとiよりも若干短いようです。長いのが外側、短いのが内側かと思ったのですが、そういうわけではないようです。ただの誤差。


支柱部分を残して不要部分を捨てます。ハサミで支柱を切り出し、不要部分を台紙から撮るのにはアートナイフを使いました。今回は、その支柱が曲がらないように少し時間をかけて矯正しました。

途中、ボンドでコーティングした糸が足りなくなってしまいましたが、新たに作り次の日にすべてのバーが設置されました。これもいつもの通り。直線でないところがやや面倒ですが、なんとかなります。

切り出しはアートナイフを使いました。ただ横に引くのではなく、上から潰す感じで切りました。ハサミを使ってもきれいに切れますが、その後ちょっと歪みます。矯正もできますが、その手間を避け、出来映えを良くするために敢えてアートナイフを使ってみました。どうですかね。

そしていよいよカーブを付けます。これがきれいにできると30年代のフォルムが再現されるのではないかと期待しています。型に使ったのはパンチの柄です。実際のカーブよりも少し急な曲面を使います。

接着する前に設置箇所に合わせます。やはりちょっとサイズが合わないようですね。この辺りがプラモデルのパーツと違うところ、最後の最後まで修正が必要です。余分な部分をカットして接着します。

右舷側、出来ました。このカーブ、いいですね。美しい。

左舷側の手すりです。工法は右舷のものとすべて同じ。

そしてこれも設置。う〜ん、30年代の雰囲気が香ります。

今回は、どんどん行きますよ。ウッド部分をのせます。
まずは前回トレースしておいた型を用意。

それを厚紙に当てウッド部分を描きます。右の鉛筆で描いたところです。

そしていつものようにStabiloで着色。

ハサミとナイフで切り出して、

端の方から接着します。

すべての部分をボンドで接着します。

ボンドが乾くのを待って階段を設置する部分をハサミで切り落とします。そのときにパチンと力がかかって折角の手すりを壊してしまう可能性があるので要注意です。このように一体で作っておいて最後に不要部分を切り落としたのは、その方が連続性がでるかなと思ったから。結果はいかがでしょうか。

後方から手すりで囲まれたデッキの連なりを眺めます。満足。写真をクリックすると大きくなりますのでじっくりとご覧下さい。

さてカーブの美しいプロムナードデッキの手すりを作りましたが、模型でもこう美しいのですから実際はもっとよかったんでしょうね。1930年代というと流線型と曲線を使ったデザインが増えていきますが、それが船にも及んだということでしょう。いや、船から広まったのかもしれません。

おそらく当時の人もこの曲線の美しさに感動したんじゃないかと思います。この船にレイアウトと規模がよく似ていて、かなりの影響を受けていると思われるNYKの新田丸クラスでは手すりに曲線デザインが多用されていますね。これでもかってほどいろいろなところに使われています。新田丸級は、開戦で本来の航路への就航が実現しなかったものの、欧州航路用に作られた船です。その前の欧州航路の花形である照国丸と靖国丸に比べるとデザインに曲線が多くなっているのがよくわかります。

ちなみに新田丸クラスのプロムナードデッキの後方部(つまり今回ポツダム号でつくったでっきですが)は、もっと後ろまで伸びていてカーゴハッチをその甲板に載せています。ポツダム号と比べるとプロムナードデッキの余裕が拡大されています。船のデザインとしては新田丸の方が格好いいように感じますが、一等客用のスペースに荷役用の設備が大きく食い込んでしまったというのは、どうなんでしょうか。それとメインプロムナードデッキ(おそろく一等客専用)の拡大で、二等以下のお客のスペースが狭められてしまいました。ポツダム号は、客室は一等と二等の二クラスだけなので、二等のスペースに配慮されていたのかもしれません。

今回で手すりの製作からは少し離れます。細かな艤装品を作っていきます。

2012年6月19日火曜日

NDL Potsdam (66) - プロムナードデッキ後部の手すり(1)

前回は手すり以外の部品を作り一服しましたが、また「手すり地獄」が始まります。場所は、プロムナードデッキの後部。地獄ですが、その地獄にもだんだん慣れてきてしまったところが恐ろしい。

それにしてもこの船、手すりがかなりありますね。だいたい昔の船のデッキはほとんどがオープンデッキでした。それが一部ブルワークで代用されるようになるのは後のことですが、そうなる前に船のデッキ数は時代とともに増えていきます。デッキがブルワークで囲まれる前に手すりで囲まれたデッキの数が一番多くなるのがこの頃なのかもしれません。

現代ではフェリーやクルーズ船は、デッキの数は多いのですが、ハウスが箱状になり今作っているような長く連続した手すりで囲まれたデッキはほとんどありません。だから現代の船を紙模型で作っても今のような「手すり地獄」はないでしょうね。一方、クルーズ船になるとボートデッキの上にベランダ付のキャビンが何層にもわたって作られるようになるので、そのベランダの手すりを一つ一つ作るのは、また大変な作業かもしれません。でも私はそんな作業はしないと思います。現代のクルーズ船を前にしても、モデルにして眺めていたいという欲求が起きないので。

手すり作りはこの造船所の宿命だと分かったところで今回のレポートを始めます。

まずは下準備としてプロムナードデッキ後部の甲板の形を薄い紙でトレースしておきます。これは後で手すりのトップに載せるウッド部分を切り出すときに必要になります。

最初は、中央の部分を作りますが、部材は51hを使います。


支柱部分は、ハサミでざくざくと切り出します。ナイフではなくハサミを使って切り出す方法も大分慣れてきましたが、作業で注意が必要だと言うことも分かってきました。問題点は、ハサミで切り出すと、細い紙のストライプが歪みやすい、ということ。切り出した後、支柱が真っ直ぐに伸びるように形を整える必要があります。

そしていつものように、ボンドでコーティングし糸を渡してバーを表現します。まずは一番トップのバーですが、これによって支柱が固定されますので、斜めにならないように慎重に糸を貼っていけます。というよりは糸に紙の支柱を固定するという感じでしょうか。



はい、すべてのバーが平行に並びました。少し湾曲しているので接着時には要注意です。

台紙から切り出して形を整えます。

それと今回は、支えになるように特別に三角形の板を4つ貼付けました。下の写真を拡大すると何とか見えるでしょうか。

そして本体に取り付けました。上手くいったでしょうか。


支えもうまく機能しているようで、手すりが垂直に立ちました。支えは小さく作ったので目立ちませんが、もう少し大きくてもよかったかもしれませんね。

2012年6月15日金曜日

NDL Potsdam (65) - プロムナードデッキとボートデッキを結ぶステップ

今日の作業もプロムナードデッキです。プロムナードデッキと上部プロムナードデッキ(ボートデッキ)の間にはステップがあるのですが、その手すりが出来ていませんでしたのでそれを片付けます。

部材はこれ。二つの部材ですが、どうして二つなんでしょうね。


こんなふうに組み合わさります。


いつものようにディテールアップをしますので二つに分かれていると言うのはちょっとやりにくい。今回は、この部分を自作することにしました。厚紙に二つが組合わさったものを描いてみましたが、こんなものでしょうか。


いつものように支柱を切り出してボンドで加工した糸を貼ってバーとします。


切り出すとこんな感じです。トップはウッドを想定してStabiloで茶に塗っておきます。


何度も見るアングルですがここのステップに付きます。


接着してみました。こんな感じになりますが、これでご容赦頂けますか?


このプロムナードデッキの後部は、いろいろな部品がついてにぎやかですね。次回はまたこの部分の手すりです。Rがついていますので上手くできれば見栄えのするものになりそうです。次回も頑張ります。