鋭意製作中

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2011年6月27日月曜日

ベルリン技術博物館訪問

日曜日の昨日は、久しぶりに時間があいたのでベルリンの技術博物館に行ってみました。

ベルリンは、東西ドイツ統一以来、首都移転以来、サッカーワールドカップ以来・・といつまでも工事が続いていて交通インフラも例外ではありません。

ベルリン技術博物館は、地下鉄1号線と2号線の交差するグライスドライエック (Gleisdreieck) が最寄りなのですが、この駅もともと作りが複雑な上に工事中でもあり、ホームから出口にたどり着いても、地元の人でなかったら自分がどこに出てきたのかわからないでしょうね。地元の人でも迷うんですから。

下の写真は地下鉄のガード下。ベルリンの地下鉄はとても古く、かつての都市中心部以外ではこのように高架鉄道になっているところもあります。このガードも年代物。このトラスだけでも産業遺産的な価値があります。


さて出口から5分ほど歩くと、目指す博物館が見えてきます。目印は地下鉄の車窓からも見えるこの吊り下げられたDC3。ベルリン封鎖での大空輸作戦の主力機です。



この博物館、展示は陸、海、空の交通ものが主体ですが、その他にも織物、映像、印刷などの展示もあります。今では鉄子、船子?なんて方々も増えてきているようですが、乗り物好きといえば昔から男の子の専売特許。でも、それでは学校の校外学習の訪問地になりにくいってことで、織物などの女の子になじみのある展示を入れているような気もするのですが、博物館側の意図はどんなものでしょうね。

敷地は広大なのですが、展示は総花で船だけを目当てに行くとちょっと物足りない感じもします。

例えばこれ。私の好きなペーパークラフトの船模型ですが、ドイツが誇る名船ブレーメンです。モデルとしては、できはいいのですが、ドイツ客船の最高峰が、このペーパークラフトだけというのはいかがなものか。
このモデル、おそらくブレーマーハーフェンの船舶航行博物館が販売しているのものでしょう。縮尺は500分の1だと思われます。どなたかが寄贈したものかも。
モデルは他にもあって、中にはプロフェッショナルや博物館が作ったと思われる精巧なものもあるのですが。





そんな展示の中で私が興味を持ったのはこちら。19世紀末以降のドイツからの、東欧諸国からドイツを経由した北米移民を扱ったコーナー。

下の写真はハパクの広告ポスターですね。ベルリンからハンブルクへは汽車で、ハンブルクからはハパグの船で、ロンドンに寄港してニューヨークへというものです。この頃から、大西洋横断ルートは近代船舶交通史の花形となり、オーシャンライナーと言えば、即大西洋航路の客船のことを指すようになりました。同時に客船は大型化、高速化していき、最速横断を競って「ブルーリボン」を奪い合っています。豪華客船の旅も、けして富裕層だけの関心事ではなく、庶民や細民も黙ってはいられないものだったのでしょう。



そして面白いのがこれ。当時の船室を再現したもの。まずは一等キャビンです。このキャビンはカウチが二つ、文机などがありますが、広さも当時のものを忠実に再現したものか、ちょっと怪しかったのですが、かなり広々としています。




そしてもっと面白いのが四等の寝台。その下の写真は説明ディスプレーのものですが、寝台は二段ベッドでぎっしりすき間なく、並んでいます。このクラスは、ドイツ語ではZwischendeckklasseと言いますが、直訳すれば「デッキ間クラス」ということ。だからキャビンとは言わないのですね。日本にも移民船と言うものがあり、同じような作りだったと思われますが、こちらの方がシステマティックな印象を受けます。何といっても、移民船という移民専用の船があったわけではなく、通常の定期運行する、豪華客船とも呼ばれる船の一部が、このような移民のスペースであったことを考えれば、それがどれだけ社会現象として定着したものであったかは容易に想像できます。

映画の『タイタニック』の世界も、こんな豪華客船でありながら、最下層の人々の移民の船でもあったオーシャンライナーの世界を描いています。二つのクラスを比較すると、その差は現代の旅客機のファーストクラスとエコノミークラスの差以上の隔たりがありますが、四等の狭い寝台で見る夢も、一等の豪華な船室で見る夢に比べて狭いということはなかったのでしょう。



船の展示は、航空機の展示と一緒に、新しい建物に入っていますが、DC 3が吊り下げられた展望台からはベルリンの地下鉄/高架鉄道がよく見えます。運河ぎりぎりのところを走らせているのは、未来主義といったらいいのか、将来の交通はこんなことになるんだろうという想像の上にわざとそのように作ったのではないかと私は想像しているんですが、事実はどうなんでしょう。



今回の訪問では船舶部門と、それに隣接する航空機部門を見ました。こちらは戦前のドイツ航空史に輝くFocke-Wulf 200 Condorの機内を復元したもの。現代の飛行機とは機内のスペースでは比べ物になりませんが、座席はかなりゆったりとしています。通路を挟んで2-1の横3列の座席配置。対面のボックス席もあり雰囲気としてはかつてヨーロッパを走っていた国際急行列車TEEのオープンサロンタイプの車両。当時TEEは、今のヨーロッパ国際急行列車ユーロシティー(EC)とは違って、一等車だけで編成されていました。
この機体は4発で大西洋も無着陸で横断できたそうです。極東との航空路にも利用されるはずでしたが、その運航を阻んだのは距離ではなく戦争でした。


日曜の午後の一時を博物館で過ごし、散歩しながら家路につきました。ベルリンの中心街は、しばらく足を向けなかったのですが、新しい建物や店舗もできており、観光客で賑わっていました。

2 件のコメント:

  1. 今回は趣向が変わって、箸休めという感じですね。観光パンフにはないベルリンの風景が見られて楽しいです。Bremen号は、1/500なら、私がつくった海事博物館発行ものと同じモデルでしょう。ただ、船首側デッキの一部が白い点と、マストが白い点(私のモデルではファンネルと同色に塗るように指示がありました)がやや違っています。しかし、手すりもないあの適当なモデルを展示するくらいなら、いっそBerlinerさんがHMVのモデル(これは精密です)を作って、寄贈してはいかがですか?黄色い高架鉄道のシーン、総武線が走るお茶の水みたいですね。

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  2. Quinquinさん、コメント有り難うございます。
    そうですね。この高架鉄道は、お茶の水駅の立体交差の危うさに似ていますね。見える駅舎は、Hallesches Tor(ハレシェス・トア、ハレ門)という駅なのですが、施設の一部が運河の上に張り出していてちょっと空中に浮かんでいるみたいになっています。手塚治虫が描いた未来都市のような印象を受けます。ベルリンではありませんがWuppertalのモノレールなど、ドイツには面白い交通インフラ遺産があります。また機会があればレポートします。

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