鋭意製作中

8月に入りましたまだ完成していません。
今月こそ完成へ!

2010年11月30日火曜日

再び繋船柱

工作は再び繋船柱の番になりました。最初期にも作りましたのでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、当初は直径1 mmあまりの円柱を作るなんて悪夢のようでしたが、あれから3ヶ月あまりたち、工作は格段に楽になりました。人間って細かさに慣れるものですね。
工作って指先のスポーツみたいなところもありますから、やっているうちに徐々に正確に動くようになる、ということもあったかもしれません。

早速画像でご覧に入れます。


今回も台座になる部分、頭に載る部分のエッジを塗装しました。前回はラッカー系の塗料を筆塗りしたのに対して、今回は水性マーカー(Stabilo Pen)を使って塗りました。相手が紙ですからラッカー系の塗料を使う必要はないと判断したのです。のちのち色あせなどの問題が起こるかどうかは未知数なのですが。


トップになる部分は、直径1.5 mmのポンチで切り抜きました。今回は、帰国したときに購入したポンチセットを使いました。今まで使っていたペンチ型のものに比べて切れ味が良いようです。
製作には慣れましたが、こうやって拡大してみるとできは今ひとつという気がします。まだまだ修行が必要です。




最後の写真は、デッキに設置したところ。立体感が出ます。

2010年11月22日月曜日

マストとワイヤー、アンテナ類の設置

いよいよマストの設置です。ファンネルと並んで船の表情を作る重要な要素です。

前方マストは既に組み立てが終了し、設置を待つばかりとなっていました。後方マストは紙を丸めて作ったのですが、先端にいくほど細くなるようにするのは難しく、やや寸胴な棒ができてしまいました。






マストを立てましたので、それを支えるワイヤーやアンテナ類をいくつか付けてみました。使ったのは極細の針金です。素材は、もう使わなくなった電話ケーブルのリード線です。

よく見るとそれらしいものがマストに絡み付いているのがわかります。このリード線、細さ的には申し分ないのですが、ピンと張ったように設置するのはかなり難しく、あまりきれいにはできませんでした。もう少し追加するつもりですが、設計図にある通りに全部つけると却ってわざとらしくなりますので程々にしておくことにします。

この針金の使用の難しさは、直ぐに形がついてしまうこと、設置しようと思ってどこかに余分な力が加わるともう折れ曲がってしまって、たるんだワイヤーになってしまいます。

ドイツ人のモデル製作者は、人口樹脂製の極細の糸を使う人もいて、これだと形状が安定していてワイヤーやアンテナ類の表現にはもってこいなのですが、製品名、入手先がわからずに今回は使用を諦めました。

2010年11月16日火曜日

手すりのウッド部分の設置 - 視線を釘付けにできた?

ボンドでコーティング、着色した糸を使ってボートデッキの手すりのウッド部分を表現してみました。細いのですが茶色のラインがわかりますか。写真をクリックすると拡大しますのでじっくりとご覧下さい。

右舷

右舷を前方から見る

左舷を前方から見る

左舷をやや後方から見る

どうでしたか。どこが印象に残りましたか、但し手すりの部分以外で。

どこもじっくりとは見なかった、というなら私の思惑通り。船の本体には歪んでいる部分、接着の甘い部分など多々ありますが、それはもうどうすることもできません。強度的に考えて修正はできません。それならそこに目が向かないように他で挽回するという戦略もありますよね。それができていれば手すりの製作は、成果あり、ということになります。

でも手すりもいろいろな方法で作ってしまいました。最後の写真を見るとわかりますが、後ろの一番下のデッキから順番に見てください。

メインデッキは、支柱も横棒もウッド部分も全て紙で作りました。どれも大分オーバースケールになってしまいました。

次にプロムナードデッキの暴露甲板部分は、手すりシートの上に紙を極細に切って作ったウッド部分が載っています。できとしてはここが一番きれいなのですが、トップに使った紙は強度がありませんので、真っ直ぐにするにはその下の手すりシートのエッジにきれいに接着しなければなりませんでした。これが難しい。

そして今回のボートデッキですが、ここにプロムナードデッキの手法で手すりを作るのは、その規模から考えて非常に難しい。そこで糸を使った方法を採用しました。糸にボンドをコーティングすると適度な強度が生まれて比較的長い手すりも容易にできます。

最後の手法は、糸の強度を心配したのですが、隣の支柱までなら糸は十分な強度を発揮してくれました。糊付けもしやすい。

この手法での教訓になりますが、やはり支柱は少なければ少ないほどきれいにできるということ。ウッド部分を固定するのにボートダビットを利用したのですが、少ない方が良いというのは、例えば二本のダビットが近接してあれば、その両方に接着するのではなく、片方の出っ張っている方にだけ糊付けした方がいいということ。二本両方に固定するとそれだけ強度は出ますが、片方が奥に、もう片方が手前に出た状態だと、糸のバーは大きくカーブしてしまいます。それはまた他に影響を与えますので片方だけに固定して、他方への固定は諦めた方が賢明だということになります。

残念ながらこれに気がついたのは両方に接着してしまった後でしたが、今後の教訓にします。「出た杭は打たれる」ではなく「出た杭だけを利用してしまえ」ってことになるでしょうか。

2010年11月15日月曜日

糸をボンドでコーティングして手すりを作製 - あの方法!

前回、「あの方法」と書きましたが、それはタイトルにもあげたように、糸をボンドでコーティングして手すり用の材料にするという方法です。

コーティング済の糸、さらに塗装した糸(手前)
作り方としては、まず糸を適当な長さに切り、クリップを重りにどこかにさげ、それに指で木工用ボンドを塗り込んでいきます。ボンドが乾いたら色を付けて完成です。白い糸を使えば、白の手すりに使う限り塗装は要らないかもしれません。ボンドは乾燥すると透明になります。

この方法は、キットやエッチングパーツなどの市販のディテールアップ用部品に頼らずに船舶模型を自作する人がよく使う方法のようです。私は、大澤浩之『紙模型でみる日本郵船船舶史 1885 - 1982』(2007年)の67ページで読みました。著者であり船舶模型製作者(アーティスト!)の大澤氏は数々の船舶模型を紙で製作していますが、その本で見る限りどれもすばらしい。

特に感動したのはその手すりの美しさ。私が今回、このキットのディテールアップ、特に手すりにこだわっているのもこの本に掲載されている大澤作品の影響です。

今回、紹介されたテクニックを使わせて頂いたというわけです。

実は、写真で示したものができるまでに失敗作が一つありました。手順通り作り、ボンドが乾いてクリップを外してみるとどうも強度的に不安が残るものでした。そこでもう一度、クリップを重りにコーティングをやり直したのですが、ボンドの塗りムラができ、あるいは太すぎてしまい使い物にならなくなってしまいました。

そこで強度に不安が残っても一度塗りだけで仕上げました。もう少し強いものを期待したのですが、大澤名人はこのくらいの強さのものを使っているのでしょうか。私も、これを使って手すり(ウッドの部分)を作ることにします。

2010年11月14日日曜日

ボートデッキとナビゲーションデッキの手すり - かすみ網は視線も捕らえる

ボートデッキとナビゲーションデッキに全面的に手すりを設置しました。これは手すりシートという「イノベーション」によって可能になったのですが、それでも結構な手間がかかりました。しかしその効果は非常に大きく、客船らしいシルエットが完成しました。

特に効果が大きかったのがボートデッキ後方のカーゴハッチ周辺です。後方から見るとそれがよくわかります。


後方から
この部分、暴露甲板としてはかなり広い面積を持っていますが、それだけに大きな平面が何もなくさらけ出されていると何か違和感を感じます。反対にそこに何か、例えば手すりが付くと客船にふさわしい表情が出て来るようです。今にも乗客が扉を空けて出てきて海を眺め出すんじゃないか、そんな感じがしてきます(これは製作者のひいき目ですが)。

次の写真は、両デッキを前方から見たところです。

前方から

プロムナードデッキ後方部の手すりと比べてもかなり長い手すりが必要となるということがわかります。安定した設置のためにボートダビットの間に支柱を立て、またボートダビット自体も手すりの支柱として使用したのですが、これはあまりいい方策ではありませんでした。

ボートダビットは、設置の際に一直線になるように気を遣ったのですが、やはり前に出たり後ろに引っ込んだりしています。そこに手すりシートを接着すると、シート自体も波をうってしまうのです。

手すりシートを使って手すりを設置するなら支柱や糊付け箇所はなるべく少ない方がいい。強度的に許されるなら両端だけにするのが最もきれいにつくるこつのようです。

この後、今できている手すりの上にウッド部分になる部品を設置します(主にボートデッキ)。これまでは紙をごく細く切り、それに着色して手すりシートの上に載せていました。載せることで紙という安定しない素材でも真っ直ぐに、そして安定した形状で作ることができます。しかし今回作ったシートの上にそれを載せるのは、その長さからして、無理ではないにしても非常に難しく、何度もやり直すと折角作った手すりを壊してしまう恐れがあります。

そこでウッド部分は、それ自体に強度があり自由に形が決められる素材、例えば金属の針金のような素材を使って作りたい。それにより手すりシートに載っていなくてもきれいに真っ直ぐに設置できるようにしたい。つまり波をうっているシートに合わせてウッド部分を付けて行くと、強度のない部材では同様に波をうってしまい、茶色と色が濃いだけに歪みが目立ってしまいますので、それを回避したいのです。

となるとやはりあれを使うことになるでしょうか。キットに頼らずにすべて自作する人が用いる「あの方法」です。

2010年11月11日木曜日

船尾の修正 - 丸いお尻を諦めて

手すりを中心に細かい部分の製作が進んでいます。手すりが上手く付いてくると、本体の製作ミスがどうしても見逃せなくなってきました。

それは船尾のふくらみ。まずは写真をご覧下さい。

修正前

この船尾のふくらみ。構造から離れて外にはみ出ています。原因は予想がつきます。

それは、船尾をきれいに丸く作ろうとまず左右の舷側を貼り合わせてから本体の骨組みに貼付けたこと。丸くするのにこだわったために外の壁に外に広がろうとする力がかかっているのでしょう。はじめは丸い船尾を残すためにこのふくらみは見逃すつもりだったのですが、こう大きく開いてくるとやはり修正しないわけにはいかなくなります。

作業は、折角丸く作った船尾を一度切開して舷側を骨組みに接着する方を優先します。大掛かりな修正ですが、何とか上手くいきました。

次の写真が修正後の船尾。

修正後

たしかに修正前に比べてすっきりしましたが、丸いはずのお尻が尖ってしまいました。やはりこの部分はキット自体がうまくできていないということでしょうね。紙は曲げやすい素材ですが、球面を作るのは非常に難しい。

手すりは後部のクレーンの周辺部まで設置が終わりました。これからナビゲーションデッキとボートデッキの手すりを作るのですが、手すりシートのできが思わしくありません。細い線がなかなかうまく引けません。

2010年11月9日火曜日

手すりで客船らしいシルエット - 三ヶ月の修練の成果

「修練の成果」と言うほど大げさではありませんが、内心はそれくらい嬉しい。敢えて設置した暴露甲板上の手すりですが、上手くできました。

手順を追ってご報告します。


まずは「手すりシート」を支える桟をデッキ上に立てます。ボートダビットの間とボートダビットと後方のブルワークの間に一つずつあるのが見えますか。合計で4つを立てました。以前作ったその下のデッキ(メインデッキ)のものと比べるとその細さがよくわかりますね。8月から作り始めてだんだん細かい工作に慣れてきました。



そして手すりシートをボートダビットと今回設置した桟、それに後方のブルワークに糊付けして貼付けます。我ながらなかなかきれいにできました。これだけでも使えそうです。ウッドの部分がない手すりもこの方法で作れそう。


さらにごく細く切って茶色に色を付けた紙を手すりシートのエッジに載るようにして設置します。これがなかなか面倒なのですが何とかできました。色の濃い部分が上に載り、エッジを隠すことでその下に透明シートがあることを上手く隠せます。白インクの部分が視覚的に浮いて見え、細いバーのように見えます。


こちらは裏から見た部分。透明シートには片方にしかインクが載っていませんので、そちらを表とすると裏はつるつるで表のインクが透けて見えるだけということになります。光のあたり方によっては平板に見えてしまうのですが、今回はそういこともなく裏から見ても描いてあるだけとはわかりません。たぶん。

しかし、今回はうまくいきましたが、喜んでばかりもいられません。これでルビコン川を渡ってしまいましたのでやれることはやり尽くさないと・・。手すりを最低でもプロムナードデッキの残りの部分とボートデッキにはつけないとバランスがとれません。それに初期に製作したメインデッキの不細工な手すりとの違いが目立ってしまいます。まあ、そのあたりは妥協しないといけませんね。

2010年11月8日月曜日

暴露甲板が「露出」

ボートダビットがようやく完成しました。右舷、左舷ともこれで船の輪郭が整ってきました。


しかしこうして見ると何かもの足りません。特にボートデッキとプロムナードデッキの後方の暴露甲板部分。ボートダビットがついて、そしてさらにカーゴダビットがつけばこの部分は大分にぎやかになりますが、今一つ客船としてのにぎやかさに欠けるところがあります。

何が足りないのか考えてみますと、やはり、暴露甲板部分の手すりがないこと、でしょうか。文字通りむき出しのままだと客船としての「輪郭」が完成しない気がします。ここは何とか手すりを作ってみましょう。やり方としては、プールの後ろ側の手すりを作ったときと同じやり方です。

まずはそのプロムナードデッキ後方部から。

2010年11月6日土曜日

ドイツ人は器用か不器用か - 平均では語れない

私は十年あまりドイツに住んでいます。ですからドイツ人との交流もありますが、ベルリンに住む日本人とも交流があります。そんな日本人の中にはドイツ人と結婚している人、結婚したことのある人も多いのですが、ほとんどはドイツ人男性と日本人女性の夫婦というパターンです。

そういう日本人の女性とドイツ人(特に男性)は、器用か不器用かという話をしたことがあります、私はドイツ人は全体的に見て不器用ではないかと思いましたので、こんなふうに聞いてみました。

「ドイツ人って不器用ですよね。両手が左手(つまり両方とも利き手ではない)って感じで(左利きの人ごめんなさい。左利きの人の方が器用な人は多いのですが、あくまで一般の話)」

その発言に対して、ドイツ人と結婚しているその話し相手の女性は、こんなふうに返してきました。

「両方左手ならいい方よ。うちの人なんか両方前足じゃないのってくらい不器用よ」

ま、前足ですか! ど、動物くらい不器用だってことですか?

まあ、そういう人もいますね(日本人の中にもいますけど)。ドイツ人、不器用な人は多いと思います。でもそれはあくまで平均とか、多いとかという話。一方、器用な人同士を比べると日本人だろうとドイツ人だろうとそんなに変わらない。いやもしかしたらドイツ人で器用さに優れた人は日本人のトップよりも器用かも。

そうじゃなければドイツの機械、自動車産業は生まれなかったでしょう。またドイツに限らず、トップの水準の高さは、平均には左右されない。いや平均が低い方が逆にトップはそれだけ高水準を求められるってこともあるんじゃないでしょうか。イタリアの職人なんか、すごいですよね。

さてそれをモデル製作に当てはめるとどうなるでしょうか。やはりその通り! ペーパーモデルを器用に作るドイツ人。いますよ。そしてその懲りようもすごい。私がよくアクセスするペーパーモデル(ドイツ語だとKartonmodell)の掲示板には、すばらしい作品、製作レポートが並んでいます。

例えばこのサイト。Kartonist.de

なかでも私のお気に入りは、こちら。Santa Inesという貨客船の製作レポート。なんと積み荷まで精巧に作っています。でも積み荷って詰め込んでしまうと見えないんじゃないでしょうか。それともハッチを開けると、ほらね、といった具合に見えるようにするんでしょうか。

その他、艤装品も細部まで作り込んでいます。キットの組み立てですがその精巧さ、工作の完璧さには脱帽です。本職は何なんでしょうか。気になりますね。

2010年11月3日水曜日

ボートダビットの設置 - 船の輪郭

片側だけですが、ボートダビットを本体に設置しました。


これまでデッキと船室の壁がほぼ裸の状態で出ていましたが、ボートダビットを付けることでそれが半ば隠れ、船らしくなってきました。デッキと船室は船の本体ですが、船を見るとき、人はそれよりも外側、つまりボートダビットとボートを船の輪郭だと認識していますね。これまで何かむき出しで寒々しい感じがしていたのはそのせいだったようです。これでボートを設置すると船の輪郭は完璧です。

ところで今回設置したボートダビットですが、このキットのモデリングが狂っているようで、素直に設置すると、どうしても足が外側に出てしまいます。つまりボートデッキに立つ足が短過ぎる。メーカー(出版社)が作製し、サイトに掲載したStefan Batoryもそのようになっていますので、明らかにモデリングのミスですね。

そうなるのを防ぐために、ボートデッキに付く足を少し長めに切り出して、船体に合わせて余分な部分をカットすることで足が垂直に立ち、そして外側にはみ出ないようにしました。

細かい作業なのですが、ダビットが付く度に輪郭が船らしくなって来るので嬉しくなります。

2010年11月1日月曜日

ボートダビットの製作

製作もいよいよ終盤。今回からボートダビットを組み立てます。


基本的に4つのパーツから組み立てますが、これが細かい! 全部作るのは考えただけでも気が遠くなりますが、ゴールを考えずに目の前のことだけを考えて作業します。

まずは説明書通りに4つのパーツを切り出してから組み立てることにしました。切り出して組み立てるのに要した時間はこれだけで1時間。まだまだ当分は楽しめそうです。

組み立てるとこんなふうになります。


真ん中が黒くなっているのは、その部分の側面に予め色を塗ってからサイドのパーツを接着したからです。この部分は、実際には何もないようです。つまりボートを下ろすときに腕の部分が上から折れ曲がってきてこの部分を塞ぎますので、この部分に何かがあるとボートを下ろすことができません。

ですからこの部分はとってしまうのが最も実際に近いのですが、そうすると強度が出ませんので色で表現することになりました。黒を使いましたがちょっと強すぎるようです。グレーくらいの方がいいのかもしれませんね。

当分、この作業が続きます。